金巾カナキン)” の例文
年寄には軽くてよい、新しい金巾カナキンなどは若い者のにするがよい、といって、決してお使いにはなりません。或時父がそれを見て、全く二重ですねえ、と目を見張らせます。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
英国産の金巾カナキンを先頭とする欧米商品は日本商人の独占的仲介を経て釜山ふざんから、元山げんざんから、旧朝鮮を揺動かしつつあったくせに、依然日本以外の国にたいしては厳として門戸を閉じていたから
撥陵遠征隊 (新字新仮名) / 服部之総(著)
しかも、金巾カナキンのポッサリした兵児帯へこおびしめて、ダラリとしりへ垂らしている。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
勿論、それには新聞社の広告の意味も含まれていたに相違ないが、ともかくも劇場に対して劇評家から引幕を贈ったのはこれが始めであるから、たとい金巾カナキンの幕にしても相当に観客の注意をひいた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ダーリヤは自分独りの時は石油ストウブをかないことにしていた。それ故室内は暖かではない。然し、決して居心地悪い場所とは云えなかった。窓には白地に花模様の金巾カナキンのカーテンが懸っていた。
(新字新仮名) / 宮本百合子(著)