野原のっぱら)” の例文
幅三十町、長さ五十町ほどの荒れ野原のっぱらの一部分だった。萩とかや野茨のいばらばかりのくさの中に、寿命じゅみょうを尽くして枯れ朽ちた大木を混ぜて、発育のいい大葉柏がまばらに散在していた。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
何とかいったな、あの言種いいぐさは。——宴会前で腹のすいた野原のっぱらでは、見るからにつばを飲まざるを得ない。薄皮で、肉充満いっぱいという白いのが、めかけだろう、妾に違いない。あの、とろりと色気のある工合がよ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)