野伏のぶせり)” の例文
もちろん、南朝方には、正行の楠木勢以外にも、四条隆資たかすけを大将とする「——和泉、紀伊などの野伏のぶせりども二万余人」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今までこの深い山々谷底を野伏のぶせり同様の姿で道行をして来た仲じゃありませんか、あたしの身になっても、あたしの家と名のつくところで、一晩でもあなたを泊めて上げたい、そうしなければ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あの火は、この裾野すその一帯の、森や河原にいる野伏のぶせり力者りきしゃに、あいずをする知らせです。父は、あなたの逃げたのをもう知ったとみえます。さ、早く、この馬に。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西園寺家では「——いかなる悪党の仕わざか。もしや野伏のぶせりから人買いの手にでも渡されてか?」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜなれば、ここの山法師ときては、俺たち野伏のぶせり以上に殺伐で刃ものいじりが好きときている。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先ごろから彼の潜伏していた荒陵あらばか一帯の村々に、いつとはなく、諸方の野伏のぶせりが寄って来て、自然な水溜りへ水がかさむように、それが千人ちかくにもなって来ては、もはや六波羅密偵の眼も
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おや。この野伏のぶせりめ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)