重傷ふかで)” の例文
ロミオ 領主りゃうしゅには近親きんしんたる信友しんいうのマーキューシオーが俺故おれゆゑあのやうな重傷ふかでひ、おれはまたたゞ時程ときほど縁者えんじゃとなったあのチッバルトゆゑ汚名をめいけた。
我はかしこの者なりき、されど我の宿れる血の流れいでし重傷ふかでをばわれアンテノリのふところに負へり 七三—七五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「いや、なんでもござらぬ。先刻追うて来る途中、ちょっと道で逢うただけのことで——それより、先生が心配でござる。だいぶん重傷ふかでのようでしたが——さ、急ぎましょう。」
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
さいわいに、ふたりはさしたる重傷ふかでを受けていたのではなかった。けれど、やがて気がついてから、賊将ぞくしょう、呂宋兵衛をとり逃がしたと知って、無念がったことは、ほかの者より強かった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)