酔心地えいごこち)” の例文
旧字:醉心地
先ほどからへさきへ出て、やや呑み過ごした酔心地えいごこちもいわれぬ川風に吹払わせていた二人の門人種員たねかず仙果せんかは覚えず羨望せんぼうまなこを見張って
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
また旅をするようになってから、ある時は全世界が輝き渡って薔薇ばらの花が咲き、鐘の声が聞えて余所の光明に照されながら酔心地えいごこちになっていた事がある。
一同は既に十分の酔心地えいごこち。覚えず声をそろえてまたもや絶景々々と叫ぶ。夕焼の空は次第に薄らぎ鉄砲洲てっぽうず岸辺きしべいかりを下した親船の林なす帆柱の上にはちらちらと星がうかび出した。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)