邂逅めぐりあひ)” の例文
実に是邂逅めぐりあひの唐突で、意外で、しかも偽りも飾りも無い心の底の外面そと流露あらはれた光景ありさまは、男性をとこと男性との間にたまに見られる美しさであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こゝはキヤヰカの前なり。たぐひなき酒家オステリアにて、羅馬の藝人どもの集ふところなり。我と共に來よ。切角の邂逅めぐりあひなれば、一瓶の葡萄酒を飮まん。この家のさまの興あるをも見せまほしといふ。われ。
急に室の内は寂しくなつたので、丑松は冷い鉄の柱にもたれ乍ら、眼をつむつての意外な邂逅めぐりあひを思ひ浮べて見た。慾を言へば、何となく丑松は物足りなかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)