遠征えんせい)” の例文
海つばめの声がきこえたからといって、陸が近いと思うてはならぬ、海つばめはおりおりずいぶん遠くまで遠征えんせいすることがあるものだ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
例の失敗におわった夜中の遠征えんせいから、一週間の間にわたしの経験したことを、くわしく話してみろと言われたら、わたしはすこぶる閉口するに違いない。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
ネルチンスキイというのは一船おくれて日本に遠征えんせいに来るはず芬蘭フィンランドの陸上選手監督かんとくで、一足先きに事務上の連絡旁々れんらくかたがたこの船に乗った、中年の好紳士こうしんしです。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
と逃げもせぬ、おれを壁際かべぎわし付けた。諸方を見廻してみると、膳の上に満足な肴の乗っているのは一つもない。自分の分を奇麗きれいに食いつくして、五六間先へ遠征えんせいに出た奴もいる。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もっとも、この遠征えんせいは失敗に終ったのみならず、マレーフスキイはいやな目にまであわされた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
「もう少しあたたかくなったら、遠征えんせいにでかけようじゃないか」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)