逆手ぎゃくて)” の例文
が、自分で罪を引受ける気にもなれない、——思い付いたのはあの逆手ぎゃくてだ、大ナマクラのギラギラする脇差を持出し、二階へ登って大声を出した。
取り付きようもない娘の心にせめて親子の肉情を繋ぎ置き度い非情手段から、翁はのろいという逆手ぎゃくてで娘の感情に自分を烙印らくいんしたのだったが、必要以上に娘を傷けねばよいが。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「ばかをいうな。今さら魏の恩にそむいて、蜀に降服などできるものか。むしろ君がそういう秘命をうけてきたのを幸いに、はかりごとの裏を掻いて、孔明に逆手ぎゃくてを喰わせてやろうじゃないか」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「五日の晩、わざと遠方の安宅長屋へ行って、人に知れると恥になるような証拠をこしらえたのは、幾松の並々ならぬ悪智恵だ。その場にいない証拠に、船比丘尼などを出すのは人情の裏を行った逆手ぎゃくてさ」