贅沢物ぜいたくぶつ)” の例文
モー一つの原因から研究してみると我邦わがくにには二百円か三百円の贅沢物ぜいたくぶつ即ち書画骨董しょがこっとうの類は少くも一つか二つか大概な家にありながら
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
文明は決して人類全体の幸福を増すための贅沢物ぜいたくぶつではない、これによらなければ種属の生存ができぬという必要条件である。
戦争と平和 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
粧飾は贅沢物ぜいたくぶつだ、あってもなくても君や妻君の身体からだに何の関係もあるまいが、台所で使う道具に有害な毒分を含んでいたら毎日身体を侵害されるだろう。勝手道具は人生の必要物だ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
軽業師かるわざしの曲芸にも巧妙はある、文筆の巧妙も軽業師の巧妙もその点ばかりは甲乙がない。しからば何の点が文筆に貴いかというのに精神を以て人を感化する力がなければ文学は社会の贅沢物ぜいたくぶつだ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)