負目おひめ)” の例文
「えゝ、それは、さうでせうけれど。貴方は、あの女の方に、何か負目おひめがおありになるンぢやありません。あの方の話が出ると、急に怒りつぽくおなりになるわ」
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
頑固な気性がつひした借金の負目おひめとなつて、釜貞は、一月二月と経つうちに、破れ障子破れぶすまの夜寒に思案もなく、有る程のものを悉く売り尽して露の命を細〻と繋いでゐたが
名工出世譚 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)