谷崖たにがけ)” の例文
これから山の中を歩くのだと云います。すさまじい雨に打たれて、谷崖たにがけ容赦ようしゃなくむやみに運動するのだと主張します。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これを刺叉さすまたにひッかけようとすると、いわゆる猛吼もうく一声というやつ、ウオオッと背を怒らし、矢を負ったままな大虎の影は、彼方の谷崖たにがけの下へ、どどどと雷雲のころがるように落ちて行った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)