讃甘さぬも)” の例文
時を移さず裏山つづき讃甘さぬもの山一帯をさがし始めたが、その頃、武蔵はどこをどう走って来たか、本位田家のだだっ広い土間口に立って
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その頃、この近郷一帯の、英田あいた讃甘さぬもや勝田の諸郡は、尼子あまこ氏の侵略をうけて、浦上一族は諸城から敗退の運命を辿たどっていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武蔵の生れた郷里、作州吉野郡讃甘さぬも村大字宮本という村に、有馬喜兵衛なるものが矢来を組み、金箔きんぱく高札こうさつを立てて試合の者を求めたというのである。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここはもう讃甘さぬもと山一重だ。もし変事ありと、下ノ庄にでも聞えたら、本位田家の縁類たちが、野を呼び、里を挙げて、襲撃して来ることは知れきっている。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この讃甘さぬもの山から見ていると姫路の武士さむらいたちが、自分の立ち廻りそうな道を、血眼ちまなこになって捜し歩いている様子だし、村の者も結束して、毎日、あの山この山と
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つい宮本村と私もここにしるすし、土地の人もそういっているが、正しくいえば以前は吉野郡宮本村だったのが、今では讃甘さぬも村大字宮本と改められているのである。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は、武蔵の出生地の讃甘さぬも地方も、くまなく歩いているが、なるほど、そういう伝統を聞いてみると、山村磊寂らいじゃくたる平和な小天地は、どこか似かよっているようでもある。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分が仮面めんをつけて、故郷の讃甘さぬも神社の神楽堂で、舞ったりしたことなども、思い出された。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
姫路藩の青木丹左衛門の子息城太郎は、すぐ使いを走らせて、讃甘さぬもの本位田家へ知らせた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
讃甘さぬもの裏は、先刻さっき、越えました。もうこの辺は辻ノ原あたり」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
故郷ふるさと讃甘さぬも神社の夜祭が、此処のような気がしてくる。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「うわさに聞けば、そのむかしこの青木丹左が、讃甘さぬもの山に狩り立てた上、千年杉の梢にくくし上げて苦しめた——当時のたけぞう——その後宮本武蔵とよぶ人の弟子となって、この関東へ来ておるということなので」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)