ののし)” の例文
家の内にはおのれ老婢ろうひとのほかに、今客も在らざるに、女の泣く声、ののしる声の聞ゆるははなは謂無いはれなし、われあるひは夢むるにあらずやと疑ひつつ、貫一はまくらせるかしらもたげて耳を澄せり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
母は珊瑚がみだらであるからだといって、ある朝珊瑚を責めののしった。珊瑚は自分のへやへ入って化粧をおとして母の前へいった。それを見て母はますます怒った。珊瑚は額を地に打ちつけてあやまった。
珊瑚 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)