角倉かどくら)” の例文
元鳥越町の甚内橋じんないばし袂に、角倉かどくらのある二階建、せいぜい間数は六つ七つ、庭の広いのと、洒落しゃれ離屋はなれのあるのと、木口きぐちの良いのが自慢——といった家です。
同じ渡海とかいを渡世にしていても、北条屋は到底とうてい角倉かどくらなどと肩を並べる事は出来ますまい。しかしとにかく沙室しゃむろ呂宋るそんへ、船の一二そうも出しているのですから、一かどの分限者ぶげんしゃには違いありません。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)