)” の例文
それが家々の補食の一種となり、また飲食店の商品ともなったのは、器械の進歩であると同時に、はれの食事の混乱でもあったのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
新衣も新衣として其の功を爲し、他人に對しても清潔謹嚴にして敬意を失はず、自己も諺に所謂『にも晴にも』たゞ一衣なる寒酸の態を免るゝを得るのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
箪笥の上の抽出ひきだしからは保雄のにもはれにも一着しか無い脊広が引出された。去年の暮、保雄が郷里の講習会にへいせられて行つた時、十二年ぶりに初めて新調したものだ。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
食物の変遷、我々日本人の食事が前代と比べて見て、いかに改まっているかを知るには、最初にまずはれとの差別を明らかにしてかかる必要がある。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ヒルマや小ビルマはもとは限られたる日の食事であり、また特別の調理に成るものであった故に、用途はであったけれども、人にはれの食物のような好い印象を与えた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ただかの邦ではにもはれにもその姓を使い、日本では国柄が単純で姓氏の数が少ないので、弁別のために起ったのであろうが、平素には家号のみを用いて姓氏を称えなかったのであります。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)