螺旋ぜんまい)” の例文
極く手軽で極く速く泡が立ちます。御覧なさいまし無造作なものでしょう。棒の先へ鋼鉄の線条はりがね螺旋ぜんまいのように巻いて着けてあるばかりです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
唯露店の商人が休みもなく兵器の玩具に螺旋ぜんまいをかけ、水出しのピストルを乱射しているばかりであった。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
どんなに精巧な螺旋ぜんまい仕掛けのおもちゃが出来ても、あの粗末な細い竹筒が割れて、あかい火の光がぽんとあがるのを眺めていた昔の子供たちの愉快と幸福とを想像することは出来まい。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「機械には故障はありませんが、唯螺旋ぜんまいが巻いてないやうでございますね。」
スクリュウに捲き上げられ沸騰ふっとうし飛散する騒騒そうそう迸沫ほうまつは、海水の黒の中で、鷲のように鮮やかに感ぜられ、ひろいみおは、大きい螺旋ぜんまいがはじけたように、幾重にも細かい柔軟の波線をひろげている。
佐渡 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「あ、さうでしたか。螺旋ぜんまいを巻くのを忘れてたんですね。」