蝦蟇ひきがへる)” の例文
そして何といふい国だらうと思つて、窓から庭を見た。庭には蝦蟇ひきがへるが一つ一昨年をとどしの事か何かを考へてゐた。
「さうだ。蝦蟇ひきがへるがゐる、山椒魚さんせううをがゐる。蒲鉾かまぼこがゐる。みんな古くから日本にゐるのだ。」
露西亜の過激派のやうに腹が減つてるらしい蝦蟇ひきがへるが、草のなかからむつくり顔を出したり、自由恋愛家のやうないなごが雄と雌といだき合つて跳ね合つたりする度に、二人は仰山ぎやうさんさうに声を立てて吃驚びつくりした。