蛍雪けいせつ)” の例文
旧字:螢雪
一郎の妹で蛍雪けいせつ女学校三年のゆき子が、学校から家へ帰ってきて間もなく、書生の中野が部屋へ走ってきて
劇団「笑う妖魔」 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
こうした大貴族の家に生まれて、栄華に戯れてもいるはずの人が蛍雪けいせつの苦を積んで学問を志すということをいろいろのたとえを借りて讃美さんびした作は句ごとにおもしろかった。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
独りネビッチョけ物と成ッて朝夕勉強三昧ざんまいに歳月を消磨する内、遂に多年蛍雪けいせつの功が現われて一片の卒業証書をいだき、再び叔父の家を東道あるじとするように成ッたからまず一安心と
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それほど、蛍雪けいせつの苦を学びの窓に積み、弱冠より兵書に親しんできたという者が、何故、この闞沢のたずさえて来た書簡に対し、一見、真か嘘か、その実相すらつかみ得ないのか。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)