蘇芳染すおうぞめ)” の例文
城太郎はきのうのように、例の蘇芳染すおうぞめの手拭を頬かむりにあごでしばっていたが、尾花の中からその時すっくと立って
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猪熊いのくまおじは、ほこをたばさみながら、隣にいる仲間をふり返った。蘇芳染すおうぞめ水干すいかんを着た相手は、太刀たちのつばを鳴らして、「ふふん」と言ったまま、答えない。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
部落の人たちは、余りに唐突な彼のわめきに、最初はあっにとられていたが、伊織の指さす方を見ると、なるほど、蘇芳染すおうぞめの手拭をあごで結んだ若い侍が、此方こなたへ向って宙を飛んでくる。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは蘇芳染すおうぞめの汚れきった風呂敷だった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)