藪雀やぶすずめ)” の例文
「しょせん、一庵の巣に隠れて、乱世をよそに、藪雀やぶすずめのような気ずい気ままはしてはおれまい。……そのうえ、妻子のかせを求めるなどはやりきれん」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いまの都会とちがって、南北朝時代の京都などには、京雀ともいうほど朝夕わんさと雀がさえずッていたろうし、兼好法師などはその藪雀やぶすずめの一羽に似ていた。けれど小説中の雀は私の創作である。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)