薩埵さった)” の例文
近時沢瀉おもだか久孝氏は田児浦を考証し、「薩埵さった峠の東麓より、由比、蒲原を経て吹上浜に至る弓状をなす入海を上代の田児浦とする」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
道了大薩埵さったの奥から出てくる狩川と、酒匂川とは飯泉橋の上手で合流している。その橋の東の袂に、飯泉村を貫いて流れて出てくる清澄な小川があった。
想い出 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
切られお富の薩埵さった峠の場の科白せりふに「お家のためなら愛敬捨て、憎まれ口も利かざあなるまい」
役者の一生 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
毗廬遮那びるしゃな如来、北方不空成就如来、西方無量寿仏、金剛薩埵さった、十方世界諸仏、世界一切の菩薩、智火に不祥を焼き、浄瑠璃の光を放ち、諸悪鬼神を摧滅して、一切の三悪趣苦悩を
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「(喜多八)……また思切って手を合せ、南無なむ志渡寺しどじの観音薩埵さったの力をあわせてたびたまえとて、大悲の利剣を額にあて、竜宮に飛び入れば、左右へはっとぞ退いたりける、」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)