にら)” の例文
予等は屡立止まつて、店晒しの食物の配色に一種見慣れざる異民族の美を感じたが、にら類の臭気には絶えず手巾を以て鼻を掩はざるを得なかつた。
亜砒酸とうして解ったと言うのか、それはわけは無い、検出の設備の無い時は、疑わしい物を炭火にほうり込んだだけでもい、亜砒酸が入って居るとにらの匂いがする——
悪魔の顔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
または面と向うとにらや汗の鼻持ちならぬ悪臭を吹きかける人たちの事を想像するし、不具者や伝染病や病人の寝汗や、人間の身体の汚いという汚いもの、醜いという醜いものを想像する。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)