荒淫こういん)” の例文
わしの見るところでは、呂布も董卓も、共に色に溺れ酒にふけ荒淫こういんたちだ。——おまえを見て心を動かさないはずはない。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
するとまた一軒の若夫婦の家では、荒淫こういんに耽っている間に、一粒種の二つになる子が、川へ落ちて死んでしまった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白粉おしろい焼けのような、荒淫こういんにただれた顔に桜花はなの映ろいが明るく踊っているのが、男だけにへんに気味が悪い。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
姫のこういう美しさは、暴虐ぼうぎゃく荒淫こういんの大物主をさえ、不断に「遠慮」させるのであった。すなわち父親でありながら、娘たる姫に対しては、形を正さざるを得ないのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「今日もようすを見ようものと、嘉門の屋敷へ参りましたところ、嘉門は不在でござりました。が、娘がおりましたので……」こういって来て桃ノ井兵馬は、荒淫こういんらしい笑い声を洩らした。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)