茉莉まつり)” の例文
われ茉莉まつり素馨そけいの花と而してこの来青花に対すればかならず先考日夜愛読せし所の中華の詩歌楽府がくふ艶史のたぐひを想起せずんばあらざるなり。
来青花 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
その起重機の下では、夜になると、平和な日には劉髪の少女が茉莉まつりの花を頭にさして、ランプのホヤを売っていた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
手にろう双頭そうとう茉莉まつりの枝
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
丁度そのとき、一台の外人の自動車が辷って来ると、死体の上へ乗り上げた。箱の中で、恐怖のために茉莉まつりの花束に隠れて接吻していた男女の顔が乱れ立った。すると、礫が頭へ投げつけられた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)