茂世もよ)” の例文
「本郷金助町の御浪人大瀧清左衞門樣の一番目娘でお茂世もよさん、——くはしいことは此處に居る妹のお勢さんに訊いて下さい」
八五郎は首をちゞめてすゝめるのです。無遠慮に突つ込み過ぎて、お勢お茂世もよの父親——大瀧清左衞門に小つぴどくやられたことを思ひ出したのでせう。
内室は先年産後で亡くなられ、丹後殿は三十五の若盛りで、定まる後添もない。拙者の娘茂世もよを行儀見習として差し出して欲しいといふ申出でで、大枚の仕度金を持つて參つたのぢや。