苞入つといり)” の例文
暮に取立ての初穂を、まず新しい苞入つといりにして、切火を打って、ここから七里ある、小田原なる城の鎮守、親仁が産神に、謹上つつしんでたてまつる
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あに、はい、墓さ苞入つといりに及ぶもんか、手間ざいだ。また誰も見ていねえで、構いごとねえだ、といての。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
師走の末の早朝あさまだきあいの雲、浅葱あさぎの浪、緑のいわに霜白き、伊豆の山路のそばづたい、その苞入つといりの初茄子を、やがて霞の靉靆たなびきそうな乳のあたりにしっかと守護して、小田原まで使をしたのは、お鶴といって
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)