ぐさ)” の例文
さう云へば水の匀や芦の匀と一しよに、あの「スマトラの忘れなぐさの花」も、蜜のやうな甘い匀を送つて来はしないであらうか。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
私はありし日の江戸下町の生活をおもってひと長屋睦み合っている納まる御代の楽しぐさをいかばかり羨ましくおもい返したことだったろう。
が、此処ここに待つてゐても、唯芦と水とばかりがひつそりと拡がつてゐる以上、おれは進んで沼の中へ、あの「スマトラの忘れなぐさの花」を探しにかなければならぬ。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)