至大しだい)” の例文
目科に従いて走りながらも余はだ彼れが本性を知る時の来りしを喜ぶのみ、此些細なる一事が余の後々に至大しだいなる影響を及ぼすしとは思い寄ろうはずも無し
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
その英国で無理にも国民を兵籍に入れやうとするのには至大しだいの困難があると思はなければならない。
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
故に今かりに古人の言に従って孝を百行の本とするも、その孝徳を発生せしむるの根本は、夫婦の徳心に胚胎はいたいするものといわざるを得ず。男女の関係は人生に至大しだい至重しちょうの事なり。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その至大しだいの幸福とは何ぞや。ここに文字の義を細かに論ぜずして民間普通の語を用うれば、天下泰平・家内安全、すなわちこれなり。今この語の二字を取りて、かりにこれを平安の主義と名づく。
教育の目的 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)