自身みずから)” の例文
「ワッハッハッハッこりゃ面白い! 他人ひとに刎ねられるまでもない。自身みずから出品しないまでよ。……何を苦しんで何を描こうぞ。盲目めくら千人の世の中に自身みずから出品しないまでよ!」
北斎と幽霊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
玉石一様ならしめんと、企つるをばひそかにり、独り自身みずから胸を痛めて予防の策を講ずる折から、この度の出来事を好機として、暗に鮫ヶ橋の貧民等と和を整えん予算なりしに、天を怨み、地を恨み
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自身みずから八歳やついもと五歳いつつ(そのころは片言まじりの、今はあの通り大きくなりけるよ)桜模様の曙染あけぼのぞめ、二人そろうて美しと父上にほめられてうれしく、われは右妹は左母上を中に、馬車をきしらして
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)