腰越こしごえ)” の例文
まして、執権御所の近火とあっては、六浦むつら腰越こしごえの遠くからさえ、この夜、駒にムチを当てた武士が少なくなかったことであろう。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金洗沢かねあらいざわに関所が設けられ、義経は、そこで宗盛父子を渡しただけで、一歩も鎌倉へ入ることを許されずに腰越こしごえに追い返されたのであった。
二 駿河安倍あべ腰越こしごえ村の山中にて、雪の日足跡を見る。大きさ三尺ばかり、其間九尺ほどづゝ三里ばかり、小路に入りて続けり。又此村の手前に小川あり。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
病躯びょうくを押して下ったが、腰越こしごえにてはばめられ、遂に、鎌倉へ入るも許させ給わず、空しく京へ立ち戻って来たが……骨肉の兄と弟とが、かく心にもなくへだてられ、浅ましい相剋そうこくの火を散らすことよと
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腰越こしごえ