胴間どうま)” の例文
「踊れ!」と、それが底抑えの胴間どうま声で呶鳴った。振り向いてみると、親方コブセが目に青い焔をちらつかしながら睨み上げている。
親方コブセ (新字新仮名) / 金史良(著)
響きの大きい胴間どうま声が、難破船のように切れ切れにシャガレていて、死んだ水夫の声じゃないか知らんと思われた位であった。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こんなこととは知らないから、婆さんから婆あへおいおい格をおとして、家内では喜左衛門が胴間どうま声をあげている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
わけえ、若え、そういったもんでねえ。」と、またどの爺さんだか胴間どうま声をかっ飛ばした。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
お、これはいかん、とコン吉が、丸天井もつん抜けるような胴間どうま声を張り上げ
「そんな胴間どうま聲でやるのか」
競場せりばで鍛い上げた胴間どうま声を揺すって湊屋一流の怪長広舌を揮い始めた。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
という、とてつもない胴間どうま声が、橋の上から——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)