肩輿けんよ)” の例文
腕車わんしゃ肩輿けんよと物は既に異っているが、昔も今も、放蕩の子のなすところに変りはない。蕩子のその醜行を蔽うに詩文の美を借来らん事を欲するのも古今また相同じである。
梅雨晴 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
慊堂の書に拠るに、初め榛軒は慊堂を請じ、慊堂はほゞこれを諾した。唯或は雨ふらむことをおもんぱかつて云々した。榛軒は肩輿けんよを以て迎へようとした。是に於て慊堂は書を裁して肩輿を辞したのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)