肝癪持かんしゃくもち)” の例文
私は年の若い上に、馬鹿の肝癪持かんしゃくもちですから、いっそ双方そうほうとも断ってしまったら好いだろうと考えて、その手続きをやり始めたのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
顔も觀骨かんこつやや出張っているのがきずであるが、まゆや目の間に才気があふれて見える。伊織は武芸が出来、学問の嗜もあって、色の白い美男である。只この人には肝癪持かんしゃくもちと云う病があるだけである。
じいさんばあさん (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ただおれと同じようにせっかちで肝癪持かんしゃくもちらしい。あとで聞いたらこの男が一番生徒に人望があるのだそうだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
代助は子供の頃非常な肝癪持かんしゃくもちで、十八九の時分親爺と組打をした事が一二へんある位だが、成長して学校を卒業して、しばらくすると、この肝癪がぱたりと已んでしまった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)