“肚胸(とむね)” の例文
卓一はその美しさに肚胸(とむね)をつかれた思ひを起し、なぜか激しい感動に一瞬己れを攫(さら)ひ去られてしまはなければならない気持に追はれるのだつた。
綾や絹は愚(おろか)な事、珠玉とか砂金(さきん)とか云う金目(かねめ)の物が、皮匣(かわご)に幾つともなく、並べてあると云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸(とむね)をついたそうでございます。
運 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私は肚胸(とむね)を突いたんだ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)