肖通にかよ)” の例文
本当はあの青年……呉一郎と君とが、瓜二つに肖通にかよっているのを利用してチョット君の頭を試験して見たんだよ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何處か俤の肖通にかよつた四十許りの品の良い女の顏が寫されてゐる。智惠子はそれに懷し氣な眼を遣り乍ら針の目を運んだ。亡き母!……智惠子の身にも悲しき追憶はある。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
あの呉一郎と、この俺とはドウしても双生児ふたごとしか思えないくらい肖通にかよっているんだもの。おまけにあの呉モヨ子と、この絵巻物の死美人像とが、瓜二つどころじゃない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何処かおもかげ肖通にかよつた、四十許の品の良い女の顔が写されてゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
私は、今一人の自分自身としか思えないほど私によく肖通にかよっている窓の外の青年、呉一郎の立っている姿を、何等の恐怖も感じないままに、今一度冷然と睨み付ける事が出来た。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)