聴取ききと)” の例文
八戸はちのへのイタコなどの記憶する雀燕の歌物語は、まだ仔細には聴取ききとっていないが、主として鳥類のかつて人であった時の事を説くというから
実は長火鉢の側にぜんを控えて、先ずオシキセをやりながら、三吉から橋本の家の様子を簡単に聴取ききとった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこで検事は、折鞄の外形から、紙幣の種類などを聴取ききとって、かたえの書記に控えさせた。そして、なお暫く些細ささいな問答がくりかえされ、やがてその夜の訊問は一段落を告げた。
医師と看護婦のほかは何人なにびとも同席させず、二十分ほどもついやして、容態を聴取ききとった上、邸内の人々が病室に立入ることを禁じ、入口に憲兵の一人を絶えず立番させることとした。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「そんなことは駄目です」と先生は昔の弟子の話を聴取ききとった後で言った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
尾けて、もしお邸へお入りになればいいけれど、そうでなかったら、どこまでも尾行して、お二人の話なんかも詳しく聴取ききとれということでした。そして、もしお二人の身にあやうい様なことが起ったら、お救い申せと……
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)