聖天山しょうでんやま)” の例文
待乳山まつちやま。……またの名を聖天山しょうでんやまの高みから、今戸橋、及び、川をへだてた向島をながめみわたした景色であります。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
旦那が達者のうちお賤に己が死んだら食方くいかたに困るだろうから、死んでも食方の付く様にといって、実は根本ねもと聖天山しょうでんやま手水鉢ちょうずばちの根に金が埋めて有るから、それをもってと言付けて有るのだ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
だが、家のものとしては、年頃でいて、のらくらと夜更よふかしの連続では、愛想をつかす方がもっともと思うと、雨垂あまだれほどに戸も叩けず、すごすご近くの聖天山しょうでんやまで夜を明かすのが例にさえなった。
聖天山しょうでんやまの工事の出来上らない限り、今戸橋いまどばしについて何かいうのは無駄である。……が、それにしても、山谷堀のお歯黒といってもない水のいろについてだけは哀しみたい。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)