耻辱ちじょく)” の例文
もしそうなったあかつき四谷代々木間の電車の窓から西洋人がこの汚い貧民窟を見下みおろしでもすると国家の耻辱ちじょくになるから東京市はこれを取払ってしまうとやらいう噂があった。
自死に毒を用いるのは耻辱ちじょくを受けざる為で、クレオパトラの場合などはまだしもじょすべきだが、自分の利益の為に他を犠牲にして毒を飼う如きは何という卑しいことだろう。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
悪ければ良くしようというが人の常情で有ッてみれば、仮令たとえ免職、窮愁、耻辱ちじょくなどという外部の激因が無いにしても、お勢の文三に対する感情は早晩一変せずにはいなかッたろう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
一同目をまして二人の意見を聞いた。誰一人成程と承服せぬものはない。死ぬるのは構わぬ。それは兵卒になって国を立った日から覚悟している。しかし耻辱ちじょくを受けて死んではならぬ。
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
チッバ でも、これは耻辱ちじょくでござる。
無念々々、文三は耻辱ちじょくを取ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)