耳垂みみたぼ)” の例文
ぼんやり視線を注いでいると、ふと敏子の耳が眼に止った。後ろにかきあげた揉上もみあげの毛に半ば隠れ、幾筋もの曲線をうねらし、耳垂みみたぼがしゃくれっ気味に締れ上っていた。
子を奪う (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そしてその指先がふと、水月くらげのような耳垂みみたぼを挾んだ時、山田ははっと胸に大きな衝動を感じた。彼の眼は貪るように其処に釘付にせられてしまった。と秀子はにこっと微笑んだ。
掠奪せられたる男 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)