老衰ろうすい)” の例文
青山北町の岡っ引留五郎の家では、昨夜は老衰ろうすいで死んだ父親の通夜つやとあって、並み居る人達の眼ははれぼったかったが、岩吉の声に、一斉に眼をみはった。
それがため、父はいらだたしさにさもしく老衰ろうすいして行き、自分は初恋からいやしく五十男に転換てんかんして行く……。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
実際、ひどく衰弱はしているが、単なる老衰ろうすいでもないし、持病らしい宿痾しゅくあも見あたらないのである。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もかえりみず、老衰ろうすいした身体にむちうってけつけてきたのですわい。そのことだ、そのことだ。マルモ君早くこの土地をはなれないと、月人の大集団が、この宇宙艇を
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
姉の老衰ろうすいを見るにつけ、自然みずからをかえりみると、心細さがひしひしと身に迫りくる。
紅黄録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)