カケ)” の例文
彼岸中日、春分シユンブンの空が、朝から晴れて、雲雀ヒバリは天にカケり過ぎて、帰ることの出来ぬほど、青雲が深々とたなびいて居た。郎女は、九百九十九部を写し終へて、千部目にとりついて居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
悲しいのか、せつないのか、何の考へさへもつかなかつた。唯、身悶ミモダえをした。するとふはりと、からだは宙に浮き上つた。留めようと、袖をふれば振るほど、身は次第に、高くカケり昇つて行く。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)