美味うも)” の例文
「坊主のくれる水では美味うもうない。どこぞの、流れへ行って、活きたような水を一ぱいもって来い。のどが渇いた」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本人もまだ生きて煙草を吸うている様子です。そこで安心して皆で喰べましたが、美味うもう御座いましたなあ。ソレは……トテモえ気持に酒が廻わってしまいました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
浮世の渡りぐるしきことなど思いめぐらせば思い廻らすほどうれしからず、時刻になりて食う飯の味が今さらかわれるではなけれど、はし持つ手さえ躊躇たゆたいがちにて舌が美味うもうは受けとらぬに
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)