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縹渺
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ひようびよう
ふりがな文庫
“
縹渺
(
ひようびよう
)” の例文
それは夢の中の記憶のやうに、意識の背後にかくされて居り、
縹渺
(
ひようびよう
)
として捉へがたく、そのくせすぐ目の前にも、
捉
(
とら
)
へることができるやうに思はれた。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
その老いて若い生命と
縹渺
(
ひようびよう
)
たる想とをみづからの高い匂にこめて、十月末の静かな日の午過ぎ、そのしろがね色の、またこがね色の小さな数々の香炉によつて燃焼し、燻蒸しようとするのだ。
木犀の香
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
縹渺
(
ひようびよう
)
とした伝説の女こそ、今の彼の心を慰める唯一の資格者だ。しかも彼女が飽くまで美しく、魅惑を持つ性格として夢みられ、彼に臨んで来なければ、彼のやうな灰人を動すには足りなかつた。
小町の芍薬
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
打霞
(
うちかす
)
みたる空ながら、月の色の
匂滴
(
にほひこぼ
)
るるやうにして、
微白
(
ほのじろ
)
き海は
縹渺
(
ひようびよう
)
として限を知らず、
譬
(
たと
)
へば無邪気なる夢を敷けるに似たり。寄せては返す波の音も
眠
(
ねむ
)
げに怠りて、吹来る風は人を酔はしめんとす。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
“縹渺”の意味
《形容動詞》
対象がかすかではっきりしないさま。
見渡すかぎり広々しているさま。
(出典:Wiktionary)
縹
漢検1級
部首:⽷
17画
渺
漢検1級
部首:⽔
12画
“縹渺”で始まる語句
縹渺性
縹渺有趣