縷々るゝ)” の例文
彼女の長い告白はまだ縷々るゝとしてつゞくのであるが、しかしそれらは二人の最初の会見の日に一度に語られたものではなく、多分そのゝち二三日の間
神仏の前に誓言することが出来る、で、此の心が何時いつか肉体を分離したる未来世みらいせに於ては、幸に我妻と呼んでれよと云ふ意味を、縷々るゝしたゝめてありました、言々げん/\れ涙
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そが中に突立ちたる奈美女は七宝の大香炉に白檀の一塊を投じ、香雲縷々るゝとして立迷ふ中より吾をかへりみて、かや/\と笑ひつゝ、此の部屋の楽しみ、わかり給ひしかと云ふ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
涙の隙から、多與里の訴へは縷々るゝとして續くのでした。
そんな折には父の両頬に涙が縷々るゝと糸を引いていた。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)