縁石へりいし)” の例文
荒れた花壇の縁石へりいしのそばで足をとめると、中村は、雲籠くもごりの淡い月の光を浴びながら、ひきしまった威のある顔をこちらへむけた。
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
車寄せの縁石へりいしのところで車をとめると、二十四五ぐらいにもみえる海軍士官が降りてきて、この家は石田というのかときくから、そうですといってやった。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
芝生の縁石へりいしのところで車をとめ、チラと二階の窓を見あげると、汗を拭きながらせかせかと玄関に入っていくのが見えた。またむずかしいことがはじまりそうな予感があった。
肌色の月 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
石田氏は、五十雄君と二人で芝生の縁石へりいしのうえに立って、消防局の活動をながめながら
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
縁石へりいしの裾にあいている排水溝の穴へそっと蹴込もうとした。
青髯二百八十三人の妻 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)