線描すみが)” の例文
線描すみがきなしに、うちつけに絵具を塗り進めた。美しい彩画たみえは、七色八色の虹のように、郎女の目の前に、輝き増して行く。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
女たちの噂した袈裟で謂へば、五十条の袈裟とも言ふべき、藕絲ぐうしの錦の上に、郎女の目はぢつと据つて居た。やがて、筆は愉しげにとり上げられた。線描すみがきなしに、うちつけに彩色ゑのぐを塗り進めた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)