素破すは)” の例文
素破すは。狼藉よ。乱心者よと押取おつとり囲む毬棒いがばう刺叉さすまたを物ともせず。血振ひしたるわれは大刀を上段に、小刀を下段に構へてあざみ笑ひつ
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
素破すは死ぬかというときになると、三郎助は自分の言いだしたことも忘れて必死に念仏をとなえ、波風が静まるとまたお題目に戻る。
重吉漂流紀聞 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
素破すは願望のぞみの叶ふとも叶はざるとも定まる時ぞと魯鈍おろかの男も胸を騒がせ、導かるゝまゝ随ひて一室の中へずつと入る、途端に此方をぎろりつと見る眼鋭く怒を含むで斜に睨むは思ひがけなき源太にて
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)