紆濤うねり)” の例文
第一の紆濤うねり、第二の紆濤、第三の紆濤には天運が船を顛覆からかばってくれた。しかし特別に大きな第四の紆濤を見た時、船中の人々は観念しなければならなかった。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ほっと安堵あんどの息をつくすきも与えず、後ろを見ればまた紆濤うねりだ。水の山だ。その時
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
どう吹こうとためらっていたような疾風がやがてしっかり方向を定めると、これまでただあてもなく立ち騒いでいたらしく見える三角波は、だんだんと丘陵のような紆濤うねりに変わって行った。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
北海道の冬は空までせまっていた。蝦夷富士えぞふじといわれるマッカリヌプリのふもとに続く胆振いぶりの大草原を、日本海から内浦湾うちうらわんに吹きぬける西風が、打ち寄せる紆濤うねりのように跡から跡から吹き払っていった。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)