精霊すだま)” の例文
旧字:精靈
満堂の異形の群集は、あからひくあけぼのの光に追われし精霊すだまのごとく、騒然どやどやと先を争って、廻転扉の隙間からかき消すごとく姿は消えて跡白浪あとしらなみ
それだのに何か得体の知れない精霊すだまが彼の耳に、お前は忘れ物をしているぞと囁やく。
精霊すだまのようなものが数限りなくムラムラと犇めき合って、爪の生えた長い指で一斉にこっちを指差しながらゲラゲラ笑ったり、舌を出したり、囁いたりしているように思われる。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ある意地の悪い精霊すだまが、⦅女帝の靴を持つといで、さうしたらお嫁にいつてあげるよ!⦆とからかふやうに言ひながら笑つてゐるオクサーナの面影をまざまざと彼の眼前へ浮かびあがらせた。