粟餅屋あわもちや)” の例文
長吉はとにかく思案しあんをしなおすつもりで、折から近所の子供を得意にする粟餅屋あわもちやじじがカラカラカラときねをならして来る向うの横町よこちょうほうへととおざかった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
御堂ができるや否や待ち構えていた我々は意識をつかんではげ、攫んでは抛げ、あたかも粟餅屋あわもちやが餅をちぎっての中へ放り込むような勢で抛げつけます。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
名高い粟餅屋あわもちやもすぐ傍です。先に歩いていられた祖母が振返って、「きょうはよかった。気を附けていても、近頃は休んでばかりいたのに。さあ、見て行きましょう」
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)